デバイス外来
デバイス外来
Medical
心臓は、電気信号で一定のリズムで動いています。ところが心臓のリズムが突然遅くなる病気や早くなってしまう病気、心臓の役割である全身へ血液を送り出すポンプの役割がうまくいかない病気があります。それぞれを治療する植込み心臓デバイスが治療手段として選択され、手術がなされております。
この植込み心臓デバイス植込み後の患者さんをクリニックでフォローアップする専門外来はデバイス外来です。
現在様々な植込み心臓デバイスが多くの患者さんに植込みされております。これらのデバイスのメンテナンスを行う外来が「デバイス外来」です。デバイス外来では、デバイスの電池状況や不整脈の発生状況、デバイスのメンテナンスを行います。患者さんによっては遠隔モニタリングを活用し、外来受診前にデバイスデータを確認し、患者さん受診時にフィードバックすることも可能です。
しかしながら、このデバイス外来の多くは、比較的大きな病院でしか行うことができませんでした。そこでデバイス外来をより患者さんに寄り添えるような外来にするためクリニックでのデバイス外来を開設しております。
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心臓の病気にはさまざまなものがあります。さらに不整脈にも種類があり、それぞれの病気に対して異なった治療法がとられています。
その中で心臓のリズムが遅くなる病気には、ペースメーカ治療という治療手段があり、日本では年間約6万人もの患者さんがペースメーカ治療の手術を受けておられます。
専門的な病名では、房室(ぼうしつ)ブロックや洞不全症候群(どうふぜんしょうこうぐん)といわれる病気に、ペースメーカ治療が行われます。ペースメーカは、一般に左右どちらかの鎖骨の下3cmぐらいのところにペースメーカの本体と鎖骨の下にある静脈から心臓にリードと言われる導線を植込みします。
またリードがないリードレスペースメーカというデバイスもあり、非常に選択肢の広いデバイス治療です。
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心臓のリズムが突然早くなる病気の中で、命に関わる不整脈である心室細動、心室頻拍があります。
この発作が起こると心臓のポンプの役割が充分に果たせなくなるので、めまいや失神、心不全の引き金になります。また心室細動や心室頻拍は、心筋梗塞や心筋が肥大してしまう肥大型心筋症、心臓が拡張してしまう拡張型心筋症などで起こります。そしてこの心室細動が起こると心臓のポンプ機能は停止し、血液の流れがとまります。数秒で意識を失い、数分で脳死の状態になってしまうため、迅速な電気的ショックを与える必要があります。
また心臓の器質的に異常がないのに、突然心室細動を起こしてしまう、特発性心室細動やブルガダ症候群といった患者さんが 植込み型除細動器(ICD)の治療の適応となります。このICDは、心室細動や心室頻拍のような発作が起きてしまった時に最悪な事態を招かないようにするためデバイスです。ICDは予めプログラムされた方法で心室細動や心室頻拍を治します。ペースメーカのような刺激を出して、苦痛を感じることなく不整脈を治す抗頻拍ペーシング治療や弱い電気ショックによる治療や少し強いエネルギーに切り替えての電極ショック治療があります。
またICDは数センチ大の本体と静脈内にリードと言われる導線をペースメーカと同じように植込みを行います。
また静脈内にリードを植込みしない完全皮下植込み型除細動器(S-ICD)というデバイスもあります。患者さんの状態、年齢や病気によってそれぞれ個別治療で選択されます。
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心臓の機能が低下してしまった状態を心不全と言います。この心不全の治療法は、お薬で治療する薬物治療と手術で治療する非薬物治療の2つがあります。1994年にペースメーカ治療を心不全の治療法として報告されて以来、飛躍的な進歩を遂げました。
そこで
①著明な心機能低下が見られる
②心臓の内部での電気的活動の伝達が低下している
③薬物治療だけでは心不全が進行してしまう
④心臓病専門医が適応と判断する患者さん
が両室ペースメーカ(CRT)の治療適応となります。
このCRTによって階段の上り下りのようなごく普通の日常生活を送ることが難しい心不全の患者さんが、今までの日常生活を取り戻し、元気に過ごされている方も多くいらっしゃいます。
またCRTは従来のペースメーカと大きな違いはありません。本体とリードと言われる導線を植込みます。従来のペースメーカは右心房と右心室に1本から2本のリードを植込みしますが、CRTは左心室にも1本リードを植込み、こちらが心機能を改善する上で非常に重要な役割を果たします。
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突然原因がわからずに意識を失ってしまうことを失神と言います。失神の原因は様々なものがあり、多くは危険性の低いものですが、中には心臓の病気が潜んでいることもあります。
その原因をなるべく早く突き止め、正しい治療を行うために必要な診断デバイスが植込み型心臓モニタ(ICM)です。ICMとは、「植込み型心臓モニタ(植込み型心電計、植込み型ループレコーダー)」と言います。
長期にわたって心電図を継続的に見守り、失神が行なった時の心電図を記録することができます。また原因不明の脳梗塞の患者さんに対して不整脈が原因の脳梗塞であるかどうかを診断するためにこのICMが用いられ、適切な治療へ橋渡しをするデバイスでもあります。
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皆さんに「デバイス」という名の信頼できる心強いサポーターを受け入れることができたら、仕事も趣味も、そして家族との時間も、より充実した有意義なものとなるでしょう。
「当たり前のことを当たり前にできる喜び」
「好きなことを好きなだけ、マイペースで楽しめる余裕と時間」
そして、「目の前に広がる未来への希望と寄り添う家族の笑顔」 「デバイス」は少しでも皆さんの日常を維持するための治療法です。
一緒に歩んでいきましょう。